H22年東京都議事録8号速報より「青少年健全育成条例」に関する記述を抜き出したものです。

 

 

 

〇百二十一番【山下太郎君】

最後に、青少年の健全育成について述べます。条例改正案は、青少年にとって、携帯電話を介したインターネット上の有害情報や、書店における図書類での性表現などは憂慮すべき問題として、都が対策としてまとめたものであります。ところが、石原知事自身は、改正案が継続審査となると、実は精読していなかったと告白するとともに、非実在青少年という言葉はわけがわからない、どんどん変えるべきだと発言をされています。要するに、この改正案は、知事みずからが責任を持てないものを議会に提出したということと同じことになります。余りに無責任に過ぎるといわなければなりません。私たちは、こうした知事みずから不備を認める議案については、これを撤回し、改めて責任の持てる案を提出するよう求めるものであります。

 また、私たちは、子どもたちが社会で健全に育つことを願い、携帯電話販売店や、フィルタリング会社、モバイルサイトの審査機関、書店などを視察し、現状調査に努めるとともに、出版業界に対し、自主規制の徹底や、青少年の健全育成に対する新たな取り組み、児童ポルノによる青少年被害者の救済に努力するよう求めました。出版業界からは本日、児童ポルノをつくってはならない、あってはならないという共通認識のもと、性表現が過激なコミックがほかのコミックとまざった状態で販売されている現状を認識し、より一層自主規制を徹底していくこと、区分陳列のためのきめ細かいレーティングの検討をしていくこと、警視庁が新設をする児童ポルノの情報を求めるホットラインに協力していくことなど、青少年の健全育成に対して今後とも努力を尽くしていくとの返答を得ました。

 都議会民主党は今後も、青少年の健全育成のために取り組んでまいります。都には改めて、改正案の速やかな撤回を要望するものであります。

 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終えます。

 なお、答弁によっては再質問を留保いたします。

 ありがとうございました。(拍手)

 

 

 

 

〇百十一番【こいそ明君】

最後に、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例について申し上げます。

 この改正案の主な内容は、子どもを相手とする悪質な漫画等を書店等で成人コーナーに区分陳列し、子どもに見せない、売らないようにするものであります。さきの定例会で、やむを得ず継続審議とした本件について判断することは、議会として当然の責務であります。

 我が党は、この改正案に賛成の立場から、都民のため、条文をよりわかりやすくすること及び本制度のあり方を三年後に検証するなどを内容とする修正案を都議会公明党の皆様とともに作成しました。今後、各会派の賛同を呼びかけてまいります。

 昨日、お子さんを持つ親御さんを中心とした皆様から、改正案の早期成立を求める四万五千人近い署名が議長あてに提出されました。次代を担う子どもたちを守るため、都民の負託を受けた都議会として、良識ある判断をすべきであることを申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)

 

 

 

 

〇六十三番【野上純子君】

 今定例会において、スポーツ振興局設置の組織条例の改正案が提出されました。国に先駆けてスポーツ振興局を設置することは、青少年の健全育成と健康増進のため、スポーツ振興施策に取り組み、政府にスポーツ庁の設置を働きかけてきた我が党としても賛成するものであります。

 都は、平成二十年に東京都スポーツ振興基本計画を策定し、都民のだれもが、いつでもスポーツを楽しむことができる社会の実現と、スポーツの都市戦略化というコンセプトを掲げました。

 スポーツ振興局の設置に当たっては、スポーツを通して、東京の新たな魅力を発信していくべきと考えます。知事の見解を伺います。

 あわせて、生涯スポーツ社会の構築と国際競技力の向上を東京が先導するとともに、子どもから高齢者まで、だれもがスポーツに親しむことができる施設づくりと環境整備が重要です。見解を求めます。

 最後に、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例について申し上げます。

 昨日、幼稚園、小学校、中学、高等学校のPTAの代表の皆様が、改正案の早期成立を求める四万五千件にも上る署名を議長に提出し、その後、都議会公明党にも要請に来られました。PTA代表の皆様方の切実な思いを前に、改めて本定例会で改正案を成立させなければならないという強い責任を感じました。

 都議会公明党は、自民党とともに、民主党、共産党、生活ネット・みらいの皆様にも賛同いただけるように、改正案の抽象的でわかりにくい表現を改め、さらに、条例が拡大解釈されたり、規制がひとり歩きする可能性の歯どめとして、本制度の施行状況を三年経過後に検討の上、必要な措置を講じることを附則に盛り込む修正案を作成いたしました。

 民主党、共産党、生活ネット・みらいの皆様も、都民の負託を受けた都議会として、良識ある判断をされ、修正案に賛同されることを強く求め、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

 

 

 

 

〇五十七番【古館和憲君】

最後に、青少年健全育成条例の改定についてです。

 子どもの人権を踏みにじる児童ポルノの被害者を一人も出さない社会をつくるべきことは当然です。重要なことは、都の青少年行政を、青少年の心身の健やかな成長を支援する原点に立ち返らせることです。

 我が党は、この立場から、本条例改定案に対しては廃案を主張してきました。改定案に反対する声は、第一回定例会後も、日本漫画家協会、脚本家連盟、劇作家協会、さらに東京の二つの弁護士会や日本弁護士連合会にまで広がっています。

 知事は、記者会見で、みずから提案した改定案を、精読していない、詳細に考えていないと発言しました。そもそも条例案は、知事の責任で出すことが地方自治法で定められているにもかかわらず、知事が精読せず詳細に考えないで提出したのでは、知事の資格がないといわざるを得ません、どうですか。

 その上、許せないことは、改定案について、役人が文章をつくると、こういうばかなものになっちゃうと、職員を侮辱し、責任をなすりつける態度をとったことです。知事は自分の責任をどう考えているのですか。このような無責任な発言は撤回し、職員に謝罪すべきです。

 改定案が、自由であるべき創作、表現活動を萎縮させかねないという都民の懸念には根拠があります。非実在青少年を、みだりに性的対象として肯定的に描写という規制の基準は恣意的に運用されかねないものであります。

 知事は、子どもの目にするところには置かないだけの話だから、表現の自由を侵すことにはならないと強調しています。しかし、知事も会員である日本ペンクラブは、声明で、まさにこの点について、青少年条例による規制は、直接的には、青少年への販売や閲覧を制限するものとされるが、それが表現全体に影響を及ぼすことは明らかであると指摘をしているのです。知事は、日本ペンクラブの声明を読んだのですか、どう受けとめますか。

 改定案では、青少年によるインターネット利用に関して、都知事が、保護者に指導または助言を行い、資料の提出や説明を求め調査する権限を定めています。これに対し、日本弁護士連合会は、家庭教育への公権力の新たな介入の危険があると批判しています。知事は、この批判を真摯に受けとめるべきです。知事、どうですか。

 創作や出版にかかわる多くの当事者だけでなく、法曹界からも、改定案の根幹について重大な問題が指摘されているのです。こうした指摘を無視して、字句修正でお茶を濁して成立を図ろうとすることは絶対に許されません、撤回すべきです。知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)

 

 

 

 

 

〇知事【石原慎太郎君】

次いで、青少年健全育成条例改正案についてでありますが、ご指摘もありましたけれども、この件について、私が精読していないといったのは、この件について、担当の部長から報告を得た直後でありまして、要するに、その説明の限りでの認識でありましたが、その後、私自身もちゃんと精読いたしました。この条例の趣旨は全く間違っていないと思います。多くの都民が、市民がこれを必ず支持するものと思います。特に子どもを持った家庭の親たちは全く同感だと思います。

 条例改正案の趣旨は、青少年のインターネット利用環境の整備と、児童ポルノを初めとする青少年をみだりに性の対象として扱う図書類等についての規定の整備であります。これらは、インターネットや携帯電話に起因して多くの子どもたちが被害やトラブルに遭っている現状や、児童ポルノのはんらん、子どもに対する強姦や近親相姦などを描いた悪質な漫画が、子どもでも手にとることのできる書棚に置かれている状況など、子どもを取り巻く危機的な状況を改善し、東京の子どもを守り、健全に育てるためには不可欠の取り組みであります。

 私は、ペンクラブには愛想を尽かしてやめたと思いますが、いずれにしろ、ペンクラブの諸君も、要するにこの条例というものを精読してもらいたいと思います。

 そのため、ぜひとも条例改正が必要と判断し責任を持って提案したものであります。

 なお、条例改正案の文言については、条例の趣旨、目的が正しいものであっても、その文言が一般都民から見てわかりにくいものとなったのであれば、決して望ましいことではありませんということで趣旨を申し上げました。

 次いで、条例改正案の撤回についてでありますが、ただいま答弁しましたように、条例改正案で実施しようとする内容は、東京の子どもたちを守り、健全に育てるため必要不可欠なものであります。

 昨日、東京都議会議長あてに、東京の子どもたちが直面している危機的状況を憂い、この条例改正案の早期成立を求める親たちによる四万五千人に近い署名が提出され、また、東京都小学校PTA協議会からも要望書が提出されたと聞いておりますが、議員の方々にはこうした声に真摯に耳を傾けていただきたいと思います。

 都議会は、都民の代表として、都政について大きな責任を担う機関でありまして、都議会においても、建設的な議論と判断が下されることを強く期待しています。都議会の皆さんの言語能力に期待して、よき改正が行えることを期待しております。

 なお、その他の質問については関係局長から答弁いたします。

 

 

 

 

 

 

〇青少年・治安対策本部長【倉田潤倉】

青少年健全育成条例改正案に対します日本ペンクラブの声明についてでありますが、改正案は、これまでの性的感情を刺激する図書類に加えて、明らかに十八歳未満とされるキャラクターに対する悪質な性行為を描いた漫画等についても、青少年に対し販売等をしないことを求めるものであります。

 したがいまして、著作者の表現行為、創作行為や出版、成人への販売が規制されるものではなく、表現の自由を侵害するものではございません。

 そもそも、この青少年の健全な成長を阻害するおそれがある図書類を、青少年に販売等しないようにするための制度は、昭和三十九年の条例制定当時から約五十年にわたり実施をしているものでございます。

 また、このような制度は、長野県を除く全都道府県の条例に規定されているものであり、最高裁判例においても、表現の自由の侵害には当たらないとして合憲とされています。

 日本ペンクラブに対しましては、既にこのような条例改正案の趣旨及び条例改正案に対する個々の指摘についての都の考え方を丁寧に説明した文書を送付しております。

 創作、出版活動に伴って世に出される出版物は、子どもを取り巻く環境をつくり、子どもに影響を与え得るものであることについて十分ご留意いただき、条例の趣旨についてご理解をいただきたいと考えております。

 次に、青少年のインターネット利用に関し、保護者に指導等を行う規定についてでありますが、そもそも、この規定は、インターネットに起因する被害やトラブルから子どもを守るため、保護者に子どものインターネット利用の適切な把握、管理を求めるものであり、いわゆる青少年インターネット環境整備法第六条の保護者の責務規定を踏まえたものであります。

 しかし、それにもかかわらず、子どもがインターネットを通じ、いじめなど実際の被害を生じさせたことが確認された場合には、その再発を防止するための適切な監督が保護者により行われるよう、青少年の健全な育成を図る責務を担う都として、保護者に対して指導助言を行うものであります。

 その際、その指導等の内容を適切なものとするために必要な事項を確認することを目的として、関係者の同意のもと、任意による聞き取りという形での調査を行うものでございます。したがいまして、家庭教育への公権力の介入には当たらないものと考えております。

 

 

 

 

 

 

〇五十七番【古館和憲君】

 まず、青少年健全育成条例改定案について、知事に再質問します。

 知事は、改正案の趣旨、目的は正しいと強弁し、文言がわかりづらいだけだと、撤回を拒否しました。

 しかし、創作、出版関係者や法曹界が反対している理由は、改定案が、表現全体を萎縮させる影響を及ぼすとともに、家庭教育への公権力の介入の危険があるという、改定案の根幹についてであります。それが改まらない限り、幾ら文言を修正しても、また何度出し直しても、納得を得ることはできません。だからこそ、まずは改定案を撤回すべきだといっているのです。その上で、知事自身が関係者と論議をして、関係者も納得できる結論を得ればよいではありませんか。お答えいただきます。

 

 

 

 

 

〇青少年・治安対策本部長【倉田潤君】

 条例改正案は、インターネットに起因する子どもの被害やトラブル、児童ポルノのはんらん、子どもへの強姦等を描いた漫画が、子どもも手にとれる書棚に置かれている状況など、子どもを取り巻く危機的な現状を改善し、東京の子どもを守り、健全に育てるために不可欠でございます。そのため、ぜひとも条例改正が必要と判断し、都として責任を持って提案したものでございまして、撤回することはございません。